俺様社長と強引で甘々な結婚
バタンと閉じられたドア。

全然思い出せない。
しこたま、飲んだことと食べたこと以外は。


急いで関ちゃんと野々葉ちゃんの三人のグループラインに昨日迷惑をかけたらしいので謝罪と事の経緯を説明してほしいと連絡をした。


「うわっ。最悪だ、私」


二人から来た返事に絶句した。


昨日、散々飲んで食べて暴言を吐いた私のことが手に負えなくなった二人は偶然、かかってきた社長からの電話にヘルプを求めたらしい。


社長は慌てて電話を切った後、十分足らずでお店に来てくれると酔いつぶれて一歩も歩けない私をお姫様抱っこして、車に運んでくれたとか。


それだけでも顔が真っ赤になるくらいなのに、その後に続く野々葉ちゃんからの文面に思考回路は飛んだ。



《『俺、一人じゃヤバいからお前もついてこい』って少し照れながら言った社長かっこよかったですよー!もう本当に理央さん、羨ましすぎっ!何かあってもいいように彼シャツならぬ彼パーカー仕上げにしときました☆服は洗って乾燥機かけましたよ。では報告まってまーす!追伸、理央さんの深酒の理由、社長だって言っておきました(笑)》



野々葉ちゃん、何を余計なことを。


でもだからかな。いつもはどんなことがあっても家には入れてくれなかったのに。


それにしてもそのセリフ、出来たら直接、聞きたかった。まあ深い意味はないのだろうけれど。いやいや彼女がいるんだから、絶対に特別な意味はない。誤解されたくないとかだ。


少し芽生えた小さな期待なんて消えてしまえ。


頭を冷やすためにも、お言葉に甘えてシャワーを浴びさせてもらうことにした。

悔しいから痕跡を残してやろうかなんて邪な考えも消すように。
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