俺様社長と強引で甘々な結婚
両手を私を横にドンと置いて、社長は私を囲って逃げられないようにした。

男心なんてわからない。
そんなのわかるわけない。だって私は女なんだし。

「でも、まあそのヤケ酒は嫉妬の表れってことがわかっただけでも良しとするか。でも、お前これからはヤケ酒禁止な。周りが迷惑するからな」

そう言って、おでこを指で弾いた社長。私が「痛い」と声を上げると、左手で私の顎をすくいそっと、親指で私の口角に触れた。

「あ、あの・・・」

「口紅、はみ出てる」

少しだけそう言って口紅を拭った社長の親指に
、私の口紅がうっすらとついているのが見えてカーッと頬が赤くなるのを感じた。

恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
穴があったらどっぷり潜りたいくらい恥ずかしい。

シャワーした後、ファンデーションと口紅だけ塗ったのが逆に失敗だった。


「お前はちゃんと飯食って、酔い止め飲んで、化粧し直してこい。俺は、車にエンジンかけて待ってるから。ちゃんと可愛くしてこいよ」

そう言い残し、私の頭をワシワシと撫でて、社長は靴箱の上から車のキーを取って外に出て行った。

私は腰が抜けたかのように、その場にしゃがみこんで両手で赤くなった頬を隠すように覆った。

なんなのよ、もう。本当にあの俺様社長に振り回されている。

それなのに、彼女がいたことが嘘だと知った私は、ドキドキした気持ちと嬉しい気持ちでいっぱいになって鼻歌まじりに、化粧直しをしようとあの大きな鏡があるバスルームに向かった。
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