俺様社長と強引で甘々な結婚
「しゃ、社長。ど、どこに行くんですか?」

「言っただろ、部屋を取ってあるって」


てっきり、帰るものだと思っていたのにそのまま、ホテルのエレベーターに乗り込む社長。引きずられるように私もエレベーターに乗るしかなかった。

エレベーターはどんどんと上昇していき、最初は何名か乗っていたはずなのに、気づけば私達だけになっていた。


「説明してください。全然わからないです。まず、なんなんですか?大杉三郎って!」


「焦んなって。部屋でゆっくり説明してやるよ。ああ言っておけばあのおばさんももうお前に連絡してくることもねーだろうしな」


誰もいなくなったからと社長に詰め寄ったのに、全然聞く耳持たず。

エレベーターはそれから一度も止まることなく、ようやく止まった階は、六十四階という高層階だった。

なんとなく、場違いだとわかった私は、一人で逃げ帰ることも出来ず、手を引かれるがまま、社長のあとをついて行った。


「な、なんなんですか?!ここ!」


社長に連れてこられた部屋は、まさにスイートルームと言われる部屋。
ヨーロピアンテイストの室内は、まるで別世界。


「ちょっと、こっち来い」


スイートルームに圧倒されている私に、来いと手招きする社長は、気づかないうちにソファに腰を掛けて、足を組んでいる。


いつの間に移動したんだろう。
それとも私が、ぽかんと圧倒されている時間が長かったんだろうか。


でも、こんなスイートルーム、関ちゃん達と雑誌で見たくらいでまさか、足を踏み入れるなんて思いもしていなかったから。
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