俺様社長と強引で甘々な結婚
「何、ぼーっとしてんだよ。説明してやるから来いって言ってんだろ」


二度目の社長の強めの手招きに、恐る恐る近づく。社長はそんな私にイラッとしたみたいで、手首を掴み、グイッと引くと、私を自分の隣に座らせた。


「聞きたいこと、あんだろ?説明してやるよ。でも、俺ってわからねー変装だったろ?いやあ他人になるのって楽しいな。大杉三郎も絶対にわからねーだろうし」


「・・・すぐに分かりましたよ。じゃあ一から説明してください」


変装がバレてないと自信満々だった社長は、「気付いてたのか?!」と驚きつつ、少ししょんぼりとした様子。


気づかないわけないじゃない。
あんなわかりやすい変装。


とまで言おうかと思ったけれど、私のためにやってくれたことだと思うとそんな嫌味も言えなかった。




「おい、なんでお前、泣いてんだよ。泣くなよ、バカ。俺は泣かれるのが一番困んだよ」


社長は困り顔で私の頭を自分の肩に乗せてくれて、ポンポンと頭を撫でてくれた。


泣くな、なんて無理に決まってる。

社長が私のためにしてくれていたことが、あまりにも嬉しかったんだ。
泣かないなんて、無理だよ。


社長から聞いた話は、こうだった。
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