俺様社長と強引で甘々な結婚
「まず、自分で自分のやりたいことを見つけなさい。そして、それを一からやり遂げなさい。そう言ったの。あの子には自分で道を切り開く大変さを学んでほしかった。そして、その課題をあの子は見つけることが出来た。あなたのおかげよ、ありがとう理央ちゃん」


「私は、何もしてません。感謝されるようなこと、何も・・・」


どうして、みんなこんな風に言ってくれるの?私は何もしていない。感謝されるようなことも、大切に思ってくれるようなことも何もしていない。

胸が締め付けられるようで涙が溢れて止まらなくなった。


「いいえ。あともう一つ。あなたのおかげであの子は課題をクリアできた。『仕事をしない社長になれ』と。今、うちの社長はパパで私はデザイナーに徹しているんだけど、仕事をするのは私、責任を取るのはパパ。私はそういう風に分けたいの」

社長はあくまでも責任者。
ガムシャラに仕事をするのは、社員。


「春馬もゆくゆくは後を継ぐかもしれない。そのときにガムシャラに仕事されるのは私の方針には合わない。それより、自分の代わりに信頼出来る部下を持ってほしい。あなたのことすごく信頼しているわよ。あの子。ねぇ、あの子は、ちゃんと仕事していないかしら?」



「そう、だったんですね」


KANAEさんの言葉で、春馬さんが社長として仕事をしなかった理由がわかった。

それにしても仕事をしていなかった?なんて聞き方、思わずクスッと笑ってしまった。
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