スーパーアイドル拾いました!
柚奈が片付けを終わらせると、海斗がお風呂から上がって来た。

 バスタオルを首に掛け、真のTシャツに着替え、さっぱりとしていた。


「ああ、気持ち良かったぁ」


「それなら良かった。ビール飲む?」


「いいのか?」


「第三のビールで良ければね?」


「うん。ありがとう……」


 柚奈は缶ビールを二本出し、一本を海斗に、もう一本の蓋を開けグイッと飲んだ。
 その、姿を見た海斗も、安心したようにプシュッと缶の蓋を開けた。


 ソファーに座り、ニュース番組に目を向ける。

 いつもは見ないのだが、真が何を見て言いか分からず、気を回したのだろう……


 柚奈だって、聞きたい事は沢山ある。だが、根ほり葉ほり聞く気にも慣れず。

 黙って、ビールを口にした。

 海斗も一人になりたかったのかもしれないと柚奈は思い、チラッと海斗を見た。きりっとした目が、テレビをじっと見ている……


「お風呂入ってくるね…… 疲れているようなら早く休んでね。歯ブラシは出しておくから……」


「俺、ここで寝るからいいよ」


「いいわよ、気にしないで…… 私、ソファーで寝る事多いから」


「でも……」


「とにかく、しっかり休みなさい」


 立ち上がり風呂へと向かう柚奈を海斗が呼び止めた。


「ねえ、名前教えてもらっていいか?」


「あっ、そうか…… 元木柚奈よ」


「柚奈さんと真君……」

 海斗が自分に言い聞かせるように呟いた。


「柚奈でいいわ」


「僕も真でいいよ」

 黙ってスマホをいじっていた真が言った。

 
< 11 / 47 >

この作品をシェア

pagetop