スーパーアイドル拾いました!
「何?」

 柚奈は不安な思いで海斗を見た。


「俺をしばらくここで、かくまってくれないか?」


「ええ――っ」


 柚奈と真は同時に声を上げた。


「こんなにご馳走してくれるから、最後の晩餐だと思っていたのに……」


「いや、これは助けてもらった分。これからの食費もちゃんと出すから…… しばらくの間でいい」

 海斗は縋るように柚奈を見た。

 こんな目をされたら、柚奈の心は苦しくなって、嫌とは言えない……


「じゃあ、確認したい事があるんだけど……」

「何?」

「あなたは、あのスーパーアイドルの桐嶋海斗よね?」

「今更かよ?」
 真が呆れて言った。


「一度はちゃんと確認しておかないと!」


「ああ、そうだ……」

 海斗は柚奈の目をじっと見て肯いた。


「分かったわ。ただ、一つ条件があるの」

「いいよ。何?」


「確かに、人は生きて行く中で、休息が必要な時があるって思う…… だから、しっかり休む事が今は大事だと思う。でも、自分で立てる時が来たら、ちゃんと逃げないで向き合う事が出来る?」


「うん。分かった、約束する!」


 柚奈は海斗の目を見て、大きく深呼吸した。


「じゃあ、これからは同居生活ね。大変よ?」


「ちょっと、母さん、いいのかよ?」

 真が少し不安気に言った。


「だって、本人の意志なんだから…… 誘拐で逮捕される事はないでしょ?」

 柚奈は自信あり気に腕を組んだ。


「だけどさ…… 監禁とか拉致とか疑われるんじゃねぇの?」


「だから、本人の意志なんだから……」


 柚奈が言い終わらないうちに、海斗が声を出して笑いだした。


「あははっ。面白いわ…… あははっ」

 始めて見た海斗の普通の笑い顔に、柚奈は胸がキュンとなった。


 これもスーパーアイドルだからなのだろうか?

 柚奈も真もつられて笑いだした……


 そのまま三人で、テレビを見てバカみたいに笑った。
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