スーパーアイドル拾いました!
 日曜日の午後、部活の終わった真を連れて、川へと向かう事にした。


「ねえ…… 寧々連れてっていい?」

 真の言葉に一瞬柚奈は黙った。


「海斗の事ばれるんじゃないの?」


「大丈夫だよ。今、海斗オーラ無いし…… サングラスしてりゃ分からないよ。親戚の兄ちゃんとか、母さんの恋人とでも言っておきゃいいよ」


「どうせなら、恋人がいいな?」

 海斗が面白そうに言った。


「えっ。じゃあ、すぐに捨てられたって噂が立つわ!」

 柚奈はぷりぷりして二人に背を向けた。

 その姿に、海斗と真が笑った。



 途中で寧々を乗せ、観光地である川と公園のある場所へと到着した。

 牛乳ソフトクリームを買って四人で歩く。


「お母さんの彼氏カッコいいよね。でも、真のお母さん美人だからお似合いだね」


「そうか?」
 真が素っ気なく言った。


「寧々ちゃん、嬉しいな……」

 海斗が調子に乗って笑っている。


『ごめんね、寧々ちゃん。私、すぐ捨てられるから』柚奈は心の中でつぶやいた……



 山から下りてくる風が気持ちよくて、周りの緑の木々に癒される。

 吊り橋を渡り、観光客も居るが、海斗には気付かない。


 森林浴を楽しみながら、石の上に座る。

 真と寧々は、まだ冷たい川の水に喜んで足を入れて、子供のようにはしゃいでいた。


「ちょっと、あんた達、大会前なんだから怪我しないでよ!」


「オッケ!」

 嬉しそうに二人は手を振っていた。


「あの二人、付き合っているのかな?」

 海斗が二人を見て言った。


「どうかな? 部活を引退して気付くパターンじゃない?」


「さすが母……」

 海斗がニヤリと笑った。

 サングラス越しだが、さすがアイドル、サマになっている。


「おーい。パン買ってくる!」


 真と寧々が、又吊り橋を渡って、売店の方へと向かった。

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