スーパーアイドル拾いました!
 「おはようございます」

 柚奈の声がユニットに響く。


「おはよう! あれ、化粧品変えた? 何か今日綺麗じゃない?」

 望みが興味あり気に言った。


「そう? 昨日、森林浴に行ったからかな?」

「えっ?」

 望みが何か聞きたそうだったが、岸谷が朝礼の号令をかけた。


「今日、予定のあった米岡さん、しばらくキャンセルになります」

 岸谷の言葉に、皆肯くが、このデイサービスでの、しばらくキャンセルは決していい話では無い。
 それを、皆が分かっている。


 柚奈は岸谷と目が合った。

「あの……」
 岸谷が何か言おうとしたが……


「柚奈さん。梅田さん到着です」

「はい!」

 柚奈は岸谷にぺこりと頭を下げ、梅田の元へ向かった。


「梅田さん、おはようございます!」


「あら、柚奈さん、今日も来てあげたわよ。なんか柚奈さん、今日はイメージ違うわ。恋でもした? とても綺麗よ」


「えっ。嬉しいけど、そんな事は無いですよ」


「まあ、私に嘘は通じないわ。絶対に恋ね……」


「もう、梅田さんてば……」

 柚奈と梅田のやり取りを、じっと見ていた岸谷と、梅田の目が合った。


「所長も残念ね……」


「えっ?」


「あらあら、柚奈さんは罪な人だこと……」

 梅田がめずらしく楽しそうに笑った。


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