スーパーアイドル拾いました!
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真は部活を引退して、大学進学へ向けての準備に入った。
寧々も、県大会三位という結果を残し引退した。
寧々と帰ろうと、寧々のクラスへ顔を出したが、クラスの男子と楽しそうに話す寧々姿があった。
真は、イラついた自分に驚きつつ、寧々を呼んだ。
「寧々!」
以外と大きく出てしまった自分の声に驚いた。
寧々は、一瞬驚いたが、嬉しそうに鞄を持って真の所へ走って来た。
「一緒にかえろうぜ!」
「うん」
寧々の笑顔に、真は顔はが赤くなった事に自分でも気づいた。
自転車を押しながら、帰り道を並んで歩く。
「さっきの奴、誰?」
「ああ、同じクラスの子よ。文化祭の打ち合わせしていただけよ」
「ふーん」
「ねぇ、気になる?」
寧々は真の顔をのぞき込んだ。
「別に……」
「なぁんだ…… 私は気になるけどね?」
「何が?」
「だって、真、バレー部のエースで頭もいいし人気あるから、女の子がいつもチラチラ見ているんだよね……」
「えっ? そうか? どこ、どこ?」
真はわざとらしく辺りを見回した。
「ばか!」
寧々は真を、じろっと睨むと早足で歩き出した。
「あははっ。寧々…… 文化祭の花火、いっしょに見ような!」
寧々は、驚いた顔で振り向いた。
「うん!」
寧々は嬉しそうな笑顔を見せた。
真は、寧々の笑顔の後ろに、一人の男の姿が目に入った。
前にも、この辺りにウロウロにしていた男だ。
真は、海斗が家に来てから、海斗の周辺の事をずっとネットで探っていた。
一枚の写真に、海斗の後ろに写る、その男がいた。
海斗のサイトに、体調不良の為、コンサートの延期の知らせが出た。
もう、そろそろ限界だろう……
「ごめん、寧々。ちょっと本屋で待っていてくれないか?」
「いいけど…… どうしたの?」
「ちょっと、話したい人がいるんだ……」
真は、その男に目をやった。
「大丈夫なの?」
「うん。もう少し、大人になったら寧々にも話せるかも?」
「えっ。じゃあ、大人になっても一緒に居てくれるんだ?」
「あっ! まあな」
真の言葉を聞くと、寧々は軽い足取りで本屋へと向かった。