スーパーアイドル拾いました!
 アパートの鍵を開けると、キッチンから明かりが見える。

 真がもう帰って来たのだろうか?


「ただいま……」


「おかえり……」

 真の声じゃない!


 恐る恐るキッチンを覗いた。


「焼き肉でいいか?」



「どうして? 」



 柚奈は驚きのあまり、言葉が続かない……



「だって、合鍵くれたから入れたけど……」



 当たり前のように、焼き肉の準備をしながら振り向いたのは……


 海斗だ……




 柚奈は、そのまま走って、背の高い海斗の首に腕をまわした。

 海斗の手は柚奈の背中にまわり、きつく抱きしめた。



「バカじゃないの? 戻って来て……」


「信じていろ、って言っただろ……」


「だって……」


「おかしいな? 真にも、少しの間って言っておいたのに……」


 海斗が首を傾げた。

「そんな事、真が信じる訳ないでしょ?」


 海斗が、柚奈の頬を優しく包んだ……


「いっしょに暮らそう……」


「な、なに言ってるのよ……」


「真が、高校卒業したら、一緒に東京にくればいい…… 真の大学、東京だろ?」



「そ、そうだけど…… 私なんかが海斗の側でウロウロしていたら……」


 海斗の唇が、柚奈の唇を塞いだ。


 唇が離れ、そっと柚奈を抱き寄せ、海斗の手が優しく頭を撫でる。


「全て事務所には話した。苦労かけるかも知れないけど、絶対、柚奈と真は守るから…… そばに、居て欲しい……」



「私が苦労かけるかもしれないわよ?」


 柚奈は不安げに海斗を見た。


「うん。いいよ。柚奈と居られるなら」


 海斗の唇がもう一度重なった。
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