スーパーアイドル拾いました!
 春になり、真は大学へ進学した。


 柚奈は海斗と入籍をしたが、一瞬の話題であって、海斗の仕事にも影響は無かったようだ。

 それだけ、海斗の仕事への信頼が出ているのだろう……



 真は、海斗のマンションへは入らず、自立したいと近くに安いアパートを借りた。

 柚奈と海斗へ気を使ったのであろうが、寧々も東京の大学へと進学した。


 まあ、この二人にも、これから色々な事が待ち受けているだろう……





 柚奈は最上階のマンションのテラスへと出て、朝の気持ち良い風にあたった。


 今までに見たこともない、高級なマンションから見える、都会の風景だ……



 四十歳を目の前に、まかさか、こんな事になるとは、誰が想像しただろう……



 思ってもいなかった人生に、戸惑いながらも、新しいスタートを気持ちよく感じている。




 海斗も柚奈がテラスにいる事に気付き、寝起きのままテラスへと出てきたようだ……


 柚奈の後ろに立つと、そっと腕をまわしてきた……


 海斗の腕の中で、優しい鼓動を背中で感じ……


 幸せ…… と一言では言い切れない気持ちが溢れる……


 この幸せは、消して、スーパーアイドル、桐嶋海斗だからでは無い……


 世界中でたった一人……

 
 自分が信じて愛した人だから……


 海斗だから……

 



 これからも、思ってもいない大変な事はきっとあるだろう……



 いや、もうすでに思ってもいない事は、起こっていた……

 海斗は、秋にはパパになる……

 さすがに、柚奈も驚いたが、これも自分の人生だと思うと、楽しく思える……

 


 まわりから見たら、不安定な道だと言われるかもしれない……


 でも、なぜだろう……


 根拠なんいか無い……


 だけど、海斗とは、ずっと一緒にいる気がする……


 梅田さんが、そう教えてくれたのではないだろうか?


 だって柚奈は、ここにいる海斗を信じられない訳が無いのだから……




 そんな思いで、振り向きながら海斗を見上げると、柚奈の想いを受けとめたような優しい目と重なる……




 海斗の唇が、柚奈の唇に触れた……



 新しい風が、二人を優しく包んでいった……




  「完」
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