危険なアイツと同居生活【番外編】
あたしたちは電車に乗って、繁華街へと向かった。
もう、蒼に気付く人なんて誰もいない。
それは、今の蒼は地味だからかもしれないし、本当にFが忘れられているからかもしれない。
だけど、あたしは忘れない。
たくさんの感動を与えてくれたFの思い出は、何よりの宝物だ。
「蒼、何買いに行くの?」
そう聞くと、
「新しいパソコン買わなきゃ」
蒼は困ったように言う。
「卒論書かないといけないのに、パソコン壊れてしまって」
そうなんだ。
こんな時期に災難だね。
だけど、パソコンが壊れたせいで、こうやって蒼とデート出来る。
それはすごく嬉しい。