危険なアイツと同居生活【番外編】
あたしは大きく息を吸い……
大声を出そうと思った時……
「ねぇ。アンタ、マジで碧なの?」
蒼が乾いた声で偽碧に話しかけた。
その瞬間、人々は驚いた表情を浮かべる。
それもそのはず、碧が二人いるんだから。
だけど偽碧は強かった。
「お前、俺に似てるな。
マネしてるのか?」
なんて言い始めて、蒼は笑われてしまう。
……そうだよね。
今の蒼は、碧とはかけ離れた見かけだ。
顔は同じだけど、おとなしい髪型だし、ピアスとかブレスレットもしていないし、シンプルなコートにジーンズ姿だ。
一方、偽碧は最盛期の碧そっくりの身なり。
みんなの馬鹿。
なんで蒼が碧だと思えないの?
どうしてチャラい碧を信じるの?
再び怒りが込み上げる。
だけど……
あたしに何が出来るんだろう。
あたしが何かを言ったとしても、きっと笑い飛ばされてしまう。
頭がおかしい女だといって。
そして、そんな女と付き合っている蒼は、さらに馬鹿にされるんだ。
悪い妄想ばかりが頭をよぎった。
このまま泣き寝入りするしかないの?