危険なアイツと同居生活【番外編】
「唯ちゃん」
ホールから出ると、大好きな声に呼び止められた。
頰を緩ませて振り返ると、そこには蒼が立っている。
社会人らしい、黒い短い髪。
ピシッとスーツを着ている。
そんな蒼は、あたしの大好きな顔で微笑んだ。
「今日の唯ちゃん、すっごく可愛い」
そう言って広げられたその腕の中に、あたしは飛び込んでいた。
人の視線なんて気にならなかった。
バカップルって言われてもいいなんて思った。
愛しい蒼をぎゅっと抱きしめ、幸せを噛みしめる。
「唯ちゃん、卒業おめでとう」
「蒼もおめでとう」
きっと、これからの人生も山あり谷ありだろう。
だけど、蒼と一緒ならなんだって出来そうな気がした。
もし、Fが活動再開しても……
きっと、あたしたちの絆は切れたりしない。