危険なアイツと同居生活【番外編】
「今日はどこ行く?」
タウン誌を読む蒼に聞いた時……
「あっ!蒼!」
見たことのあるようなないような男の子が蒼に声をかける。
どうやら、工学部の友達のようだ。
「お前、最近暇してるのか?」
その言葉に、うんと頷く蒼。
「暇すぎて死にそうだよぉ」
「それなら……」
そう言って彼は、困ったように蒼に言う。
「俺たちのバンド、ギターの奴がやめてしまって。
ライブもキャンセルしたくないし、今回だけやってくれね?」
蒼はこうやって、メンバーの足りないバンドに引っ張りだこだった。
蒼も嫌がらないし、ミスしたりしないから。
ミスどころか、どう目立たないようにしてもやっぱり目立ってしまうほどの技術だった。
さすがFだと言うほどの。
だから、今回も喜んで受けると思っていたが……
「ごめん」
心底申し訳なさそうに蒼が言う。
「今は音楽から離れたいんだ」