TIMELEAP2
その怖さに男たちは負けたのか私からパッとすぐに手を離す。

「こいつ…俺の彼女なんだけど。人の彼女を取ろうとしないでくれる??」


と笑顔で言い放つけど。その笑みはとても黒い。あの優しいあずまさんではない感じがする

かああぁぁっと赤くなる私の顔。「彼女」というのは嘘だと知っているけど。なぜか、嬉しい。

「「っっ! すいやせんっしたっっ!」」

ピューっという効果音が合いそうな速さで走り去っていった。男たち。

「あずまさ…っ。ありがとうございますっ…」

怖さがなくなり安心感からぺたりと地面に座ってしまった。

そしてぼやける視界。簡単に零れ落ちる涙

「怖かったね」

そういって頭をポンポンと撫でてくれるあずまさん。

なぜか〝頭をポンポン〟と撫でてくれる人なんてウチにはいないのに。されたこともないのに懐かしいという感覚に陥る。

「っう……!」

そして止まることを知らない涙はドンドンこぼれ落ちて地面に濃いシミを作っていく。

「ハイ」

そういって差し出されたのは淡いブルーのハンカチ。

「そのハンカチ…懐かしいかも…?」

おかしいな。そんなのお店でも見たことないのに…。

「え」

今世界中をバイオリニストとして飛び回っているお母さんは〝ブルー〟という色は好みではないわといっていたし。お父さんはハンカチはいつもグレーか白のものだから見たことない。

「ありがとうございます」

「あ…別に〝あずまさん〟じゃなくてもいいんだよ?あだ名でも」

「…!?」

私の驚く顔が面白かったのかクスクスと笑って、切なそうな顔になる。

その理由がわからなかった。

「あだ名…」

あだ名で速攻思いついたというか、フッと脳裏のその名前がよぎった。それとともに私とおないどしぐらいのあずまさんそっくりの少年の顔が浮かび、ドキッとする。

「叶ちゃん…」

ハッとする。いやいやいや年上の人にかなり失礼じゃない?わたし何言ってんの?

〝叶ちゃん〟とか…っ




















































































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