ごっこ遊び

これが愛と言うものなのかな。
そう思ってみたけど、あまり心に響かなくて、なんか違う気がしたのに、わたしはタケちゃんを気にして、お家に通ったりしているうちに、また同じようなことが起きる。

タケちゃんが、わたしを抱くときに「小豆」と呼ぶようになったのは、身体を重ねて数回目くらいのことだった。急に呼ぶから、耳を疑った。

わたしは猫じゃないのに。だから、タケちゃんは、わたしではなく、他の名前のものを抱いているように感じたいのかと解釈した。そうして、現実逃避でもしてるつもりなんだろう。

だから、わたしは、代わりにタケちゃんに好きと伝えるようになった。そしたら、タケちゃんもわたしに好きと言ってくれて、きっと彼女にしてくれる。この関係に意味ができる。わたしをわたしとして扱い、わたしの名前を呼んで抱いてくれると思ったのに、タケちゃんは、わたしに好きと言わない。

わたし達の関係はなんなんだろうか。

タケちゃんはわたしのことを好きと今でも思っているのだろうか。

どうして、わたしはタケちゃんから離れられないんだろうか。

段々と考えることが面倒になって、自分は無機質なものにでもなった気がする。だけど心はずっと苦しかった。

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