【企&短】だから、ボクを愛してよ。


不覚にも......胸を締め付けられてしまった。

ワンコを見放すのはいくらなんでも、可愛そうだ。



「間違った、間違った」



すぐさま先程の言葉を訂正。

するとワンコ......んんっ。鳴海くんの表情は晴れやかに。



「じゃあ、ボクの隣が良いんでしょ?」



そして、先程と同様の質問。



別に隣が良いとかそんなわけないが...またワン...鳴海くんを悲しませるのは...ね。

心苦しい。



「そうそう。鳴海んの隣がいーなー」



自分でも笑ってしまうほどの棒読み。

でも、彼は棒読みなんて気にしてないようで。



「先生聞いた!?今の聞いた!?北山さん、ボクの隣がいいって!!」



早速担任に話し掛ける鳴海くん。

その言い方は誤解を生むから辞めていただきたいんだが...



「おう、そうかそうか。良かったな鳴海」



「うん!えっ、はっ??何言ってるの??」



...今うんって言った?

私の空耳??



「し、か、た、な、く、だもん。別に、北山さんの隣が良いなんてちっとも思ってないんだからね!!」



やっぱりさっきのは私の空耳だったみたい。



「分かった分かった。鳴海静かにしろー」



担任はもはや席替えのことなんか興味なしだ。

適当に鳴海くんのことをあしらっている。

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