「 好 き だ よ 」
「お友達呼んでますね」
「…呼ばれてますね」
「ばいびー宇多くん。私は今から地獄を見ようと思うよ。無事生還できるようにがんばるよ」
右手でグッと拳をつくる。
がんばるアピール。
「はは。うん、がんばってね。応援してます」
目尻に皺を寄せて、にっこり宇多くん。
真似してグッと拳をつくってくれた。
「じゃあまた明日」
「ばいばい」
宇多くんがパタパタと駆け足で去っていく。
去っていった廊下の奥で、
「はる、おまえ青春すんな!」
って理不尽に怒られてて、笑いそうになっちゃった。
◇
「も、やだ〜〜。どうしてこうなるの」
課題に取りかかること数時間。
全然解けない問題に嫌気がさしてきて、机の上に突っ伏する。
そろそろ私の集中力が限界である。