「 好 き だ よ 」
居残りの指示してきた数学科担当の先生には、プリント3枚終わったら帰っていいと手厳しいことを言われた。
むくりと重い体を起こして、散らかった机に目を落とす。
終わったのはたった一枚。
しかも自信ないし、もう絶望的。
終いには18時を合図するチャイムが鳴ってしまって、ついに私の心が折れかける。
「数学なんかこの世から消えちゃえ─……」
視界がゆるみそうになって、
そんな情けないこどもじみたことを無意識のうちに呟いてたから、
だから、近づく人の気配にまったく気づかなかった。
「──………大丈夫?」