「 好 き だ よ 」



「………え?…っわ、」


「びっくりした。教室に忘れ物したから取りに来たら…1組電気ついてんだもん。まさかって思ったらほんとに白石さんだった」


いつもの窓から顔を出して、優しく笑う──宇多くん。


「……私のほうがびっくりした。いると思わなかった」


油断してた。誰もいないって油断しすぎて、変なひとりごと言っちゃってたもん。

どうか聞いてませんように。




「宇多くんはこんな時間までなにしてたの?」


「さっき部活終わって、バッシュケース教室に忘れたから取りに来たんだよ」


「……エッ?!部活、入ってたんだ…」


「うん。バスケ部。知らなかったでしょ」



……全然知らなくてごめん。


心の中で謝りながら、椅子から少しお尻を浮かせて、宇多くんの全身をちゃんと見てみる。



「本当だ。ユニフォーム着てる。バスケ部っぽい」


「ぽい?それなら良かったです」



ふふ、と嬉しそうに小さく笑う。


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