「 好 き だ よ 」
宇多くんに言われたとおり、教えてもらった方法で解答を試みる。
けれどあいにく私には宇多くんみたいな頭は持ち合わせていないようで。低脳でごめんなさいって思う。
割と本気で。
「うう無理。解けない〜。帰って〜宇多くん帰って〜もう私なんか見捨ててくれ〜」
「何言ってんの白石さん」
くすくすと笑われる。
いや、本気で言ってます!私。
こんなの夜中になっちまいますって。
「ほら、部活で疲れてるだろうし…そろそろ本当に申し訳ない」
「ん?大丈夫だよ」
「日超えるよ」
「いいよ。全部出来るまで俺いるから」
……いいよって。だめだろ。
そんなまっすぐな顔で。
私冗談で言ったんだけど。
宇多くんが、だらしない間違いだらけのプリントとにらめっこして、私の解けない理由を必死に探してくれる。