「 好 き だ よ 」
「……………」
「………」
しばらく集中していた宇多くん。
なにか閃いたのか、「…あ、」と突然小さく声を漏らした。
私はあわててペン回ししてた手を止めて、宇多くんの手元にあるプリントに目を移す。
「私どこミスってた?」
「え?あ、違くて。えっと、
……白石さん、俺いないほうがいい?」
「え?」
プリントから、顔を上げる。
宇多くんと、至近距離で視線がぶつかった。
けれど、宇多くんはすぐ顔を背けてしまう。
「……や、なんか強引すぎたかなって。一人で集中したい人もいるじゃん。ちょっと空気読めてなかったかもって、今反省してる」
伏し目がちに言葉を落としていって、元々小柄な宇多くんなのに、なんかもっと小さく思えてきた。
「……それに、汗くさいし…多分」
すすす…と少しずつ椅子を後ろに引いていく宇多くん。