「 好 き だ よ 」
「………宇多くんって、変」
「えっ、……それは、ごめん。どこが変?」
「えっと、お人好しすぎて、変」
思わず漏れた言葉。
宇多くんが「なにそれ」って、戸惑い混じりの笑みをうかべる。
褒めたつもりだったのに、なんかおかしくなっちゃった。
だって、私だったら部活のあとは早く帰りたいってきっと思うかもしれないし、いつまでたっても解けない問題ほったらかしてやる気ない人(私)いたら嫌気さしちゃうと思うもん。
だけどこの人はきっと、自分がそうしたいから、自分が思うままのことをしているだけで、
優しさの自己満とか、見返りを求めたりとか、そういうのって、なんにも思ってないんだろうな。
「……私ね、今宇多くんいなかったら本当の本当に地獄見るところだったんだよ。恐ろしすぎない?」
「え?」
「あと宇多くんって実は柔軟剤のにおいがうちとちょっと似ててね、いいにおいなんだよ。ちょっとせっけん強めみたいな、今もね」
「え、あ、そうなんだ」
宇多くん、???って顔。……なんでなの。
「さっきの宇多くんの。回答したんだよ」
「?……あ、あ──。なるほど、よかった……」