「 好 き だ よ 」
しばらく歩いていると、やがて見えてきた職員室。
「あ、じゃあ私こっちだから。宇多くんは、あっちだよね。今日は本当〜〜にどうもありがとう」
ペコーッと深々お辞儀をする。
そしたら宇多くん。
「こちらこそ。俺も楽しかったから。ありがとう白石さん」
……楽しいだって?今の時間が??ぜったい疲れてるはずなのに。どこまで心が広いんだ。宇多くんよ。
「宇多くん、今日から優しさたっぷり隊長に任命するね……」
「えー。なにそれ。光栄です」
くすくす楽しそうに目を細める宇多くん。
もうこんなん天使だろ。
「じゃあね宇多くん。気をつけて帰るんだよ」
「……それ俺の台詞ね?」
って言われたけれど、宇多くんの可愛い容姿からして危ないのは確実に君なので。
「ウン」ってテキトーに返事して、くるり宇多くんに背を向け歩き出す。
どうか今から宇多くんが、満員電車にも捕まらず、赤信号にも捕まらず、生きてて一番スムーズな帰り道でありますように。