「 好 き だ よ 」

宇多くんはまっすぐ

◇


｢白石さん！」


本日もいつもの如く、宇多くんがやって来た。


なんだか飼い主に懐いた子犬に見えて、頭をヨシヨシと撫でてあげた。


宇多くんが目を細めてうれしそうにするもんだから、調子にのって両手で思いきり撫でてやったら、


宇多くんの栗色ふわふわヘアが、わしゃわしゃのくしゃくしゃになってしまった。


｢わ、ごめん」

｢ううん。大丈夫」


くしゃくしゃになっちゃったのに、宇多くんってば満足そうに笑ってる。へんなの。





｢……あ。そうだ。宇多くんにね、渡したいものがあったんだよ｣

｢渡したいもの？｣


わしゃわしゃのくしゃくしゃにされた髪をせっせと直す宇多くんが、きょとんとした顔をする。


渡そうと思ってスクバの中にずっと閉まっておいたもの。渡しそびれて今更になっちゃった。