「 好 き だ よ 」
「え〜。…右か左かどーっちだ」
「えっ。えー、右…?」
「右ね。 じゃじゃーん。君はソーダ味です」
宇多くんに見えないように、下の位置で両手に1つずつ忍ばせてた、棒付きキャンディー。
「私コーラ味」
水色のほうを、宇多くんにハイ、と手渡しする。
「え、いいの?ありがとう…」
「この前勉強教えてくれたお礼だよ。へんてこでごめんだけどね」
そう言うと、ふるふる全力で首を横に振る宇多くんが、あまりにも嬉しそうにするもんだから、もうちょっといいもの用意しとけば良かったかな、なんて、思ったり思わなかったり。
「俺これ一生食べない。部屋飾ろうかな」
「えっ。なんで?!」
「だって勿体ない」
勿体ないって……。普通にコンビニ売ってるよそれ。
宇多くんの言動に不思議に思って、宇多くんにあげたキャンディーを怪訝に見つめてたら、ふは、と吹き出すように笑われた。
「なにを貰ったか、じゃなくて、だれに貰ったか、だよ。白石さん」
にこにこ。相変わらず可愛い笑顔を向けてくる。
って、どういうこと?