「 好 き だ よ 」
「って、いっけない。本題忘れてた。白石、今日の放課後空いてる?」
「え?うん。特に何もないけど」
「ヨシキタ。ちょっと着いてきて欲しいところがあってさ──」
◇
放課後。
HRが終わってからすぐあっこに手を引かれて辿り着いた先は、
「「キャーー!!」」
女の子のギャラリーが大勢集まった──体育館。
黄色い声援が凄まじくて、思わず一歩後ずさる。
「あっこ、これ何?」
周囲の勢いに呑まれながら、ギャラリーに溶け込むあっこの制服の裾をちょちょいと引っ張って、耳打ちする。
「何って、バスケ部の練習試合だよ。普段は部員の気が散るから観戦したらダメなんだけど、今日は西高と合同練習試合らしくて特別に観戦していいんだって」
「公開練習試合だよ」と、あっこの視線はある人物を捕らえたまま。目をキラキラさせながら教えてくれた。
「あっ、まってやばい、先輩点決めそう、……あっ!
キャー!先輩かっこいー!好きーー!ファイトォー!」
両手をメガホンのようにして、周りの女の子たちに負けないくらいめいいっぱいの声援を送るあっこ。