「 好 き だ よ 」
「あっこ見て見て。ほら、宇多くん。あの人バスケ部なんだって」
ベンチで試合を観戦している──周りより遥かに小柄な宇多くんを指差して、最近得た情報をあっこに教えてあげる。
そしたら、
「知ってるけど」
「えっ」
「あんた逆に知らなかったの?」
あっこに「つめてー女」ってビックリされた。
う、うるさいな! 別にいいじゃんね。
宇多くんなんて、知ってることより知らないことのほうが多いんだから。
「……ね、呼んでみる?」
「えっ。呼ぶの?……呼んじゃう?」
それから、ほとんど無心で試合の観戦していたら。
ふと、緊張混じりのひそひそ話がななめ前から聞こえてきて、無意識的に目を向けた。
同じ学年の、隣のクラスの女の子、だ。
2人とも顔見知りではないけれど、顔だけなら一方的に把握していた。
この2人も進藤先輩目当てかな?
顔を赤らめる2人がなんだか可愛くって、思わず口元がゆるんじゃう。
「……呼ぶよ?せーので、一緒に呼ぼうね」
「うんっ。 いくよ? せーのっ……」