「 好 き だ よ 」


「「───はるくんっ、頑張れーー!」」




えっ。


唐突に、女の子たちから放たれた聞き覚えのあるその名前にびっくりしてコートへと目を向けたら、……更にびっくりした。


だって、さっきまでベンチにいたはずだったのに、縦横無尽にコートを駆け抜ける宇多くんの姿があったから。



「はっ。こっち見た。……笑った〜!」



キャ〜!と恋色に染まった声をあげながら手を取り合う2人の視線の先に、今まさにこちらを振り向いて、ペコッと照れくさそうにお辞儀をする宇多くんが見えた。


それからまた、いつもとは違う凛々しい表情で、試合に臨む宇多くん。


ついさっきキャンディーもらって浮かれてた人とは思えないくらいには真剣で、スポーツってすごいなと関心する。





「宇多くんね、たまにこういうことあるんだよ」


隣のあっこが、こそっと耳打ち。


「こういうこと?」

「女の子にわーきゃーされんの」

「ほんとに?意外すぎるんだけど」

「まあ刺さる人にはぶっ刺さるタイプじゃん、あの子」

「そうなの?」



母性本能くすぐられる……的な?


それならちょっと分かるけど。



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