「 好 き だ よ 」

「てかあっこはそこでなにしてるの?」


先輩いるのに、なぜか動く気配ないあっこ。


そしたら、どうやらあっこなりのこだわりがあるようで。



「いい?白石。ああいうのってね、同時に行っちゃうと群れすぎて埋まっちゃうから、印象をちゃんと残せないのね」

「……ほう」

「だから、ある程度ギャラリーが減ったその瞬間が絶好のチャンスなの。ほら、今行ったって埋もれて終わり。もったいないでしょ?かと言って遅すぎても先輩に迷惑だから──……」



熱弁かます、計算高いあっこ。


あっこのいう、その絶好のチャンスとやらを一緒になってしばらく待ってたら、「…今だっ!!」とか言って、絶好のチャンス、巡ってきたっぽい。


なりふり構わず、進藤先輩のもとへ。




「……ふふ。あっこ可愛い」


乙女モードに入ったあっこを、少し遠目で観察する。


あっこは昔から恋多きオンナ。


熱しやすく冷めやすいタイプだから、好きな人ができても最短3日、最長2ヶ月で恋を終わらせてきた。


唐突にくる「冷めちゃった」の一言も、今ではもう慣れっこ。


だからこそ進藤先輩は…いろんな意味ですごい人。





「──白石さん!」


と、突然背後から名前を呼ばれて、思わず私、グッと身構える。


< 29 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop