「 好 き だ よ 」
「てかあっこはそこでなにしてるの?」
先輩いるのに、なぜか動く気配ないあっこ。
そしたら、どうやらあっこなりのこだわりがあるようで。
「いい?白石。ああいうのってね、同時に行っちゃうと群れすぎて埋まっちゃうから、印象をちゃんと残せないのね」
「……ほう」
「だから、ある程度ギャラリーが減ったその瞬間が絶好のチャンスなの。ほら、今行ったって埋もれて終わり。もったいないでしょ?かと言って遅すぎても先輩に迷惑だから──……」
熱弁かます、計算高いあっこ。
あっこのいう、その絶好のチャンスとやらを一緒になってしばらく待ってたら、「…今だっ!!」とか言って、絶好のチャンス、巡ってきたっぽい。
なりふり構わず、進藤先輩のもとへ。
「……ふふ。あっこ可愛い」
乙女モードに入ったあっこを、少し遠目で観察する。
あっこは昔から恋多きオンナ。
熱しやすく冷めやすいタイプだから、好きな人ができても最短3日、最長2ヶ月で恋を終わらせてきた。
唐突にくる「冷めちゃった」の一言も、今ではもう慣れっこ。
だからこそ進藤先輩は…いろんな意味ですごい人。
「──白石さん!」
と、突然背後から名前を呼ばれて、思わず私、グッと身構える。