「 好 き だ よ 」
宇多くんと勝負ごと


「はあ〜〜。 たのしみすぎる、体育祭」

「……あっこ? もうそれ言うの今日で12回目」



お昼ご飯のサンドイッチを頬張りながら 頬をゆるませるあっこにそう言うと、「数えてんじゃないよ」と軽く怒られた。



「いーい?白石。 好きな人がいるイベントって特別なんだよ。 誰だって浮かれるものなの」

「…ってことは、楽しみの理由って進藤先輩?」

「当たり前でしょ。 恋愛無しの体育祭なんてただの暑苦しい体育授業の延長線でしょうよ」



そ、そうでございますか……。
恐るべし、 恋愛脳。



「……白石はさあ。 恋愛したいとか思わないの?」



と、突然そう問われて、思考が戸惑う。



「……んー。 恋してる子みんな可愛くて、青春してていいな、とは思うけど……」

「けど?」

「好きな人欲しいな〜とかは、特に思わない、かも……」

「そっかあ」


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