「 好 き だ よ 」
ふとあっこの視線が窓の外のグラウンドへと向けられて、私も続いてグラウンドへと視線をうつす。
視線の先には、体育祭に向けてリレーの練習に励む生徒たちの姿があって、その中でも群を抜いて目立ってる爽やかな美貌をもった進藤先輩の姿を見つけた。
グラウンドにはいつの間にか白い線が引かれていて、カラフルなコーンがまばらに配置されている。
「進藤先輩、リレーでるんだ」
「そうなの~~。 もーーかっこよすぎる」
「先輩ちょっと無敵すぎるな」
この学校の体育祭は、なんといっても
" 男女混合ブロック対抗リレー " が名物で、
全学年がブロック別でチームになって競い合う、メイン中のメイン種目がある。
1クラス男女1人ずつ、足の速い選ばれた人しか出られない、全種目の中でいっちばん盛り上がるもので、私も結構楽しみだったりする。
「あ~~先輩かっこいい~~、尊い…好きぃぃ~~」
窓から体を乗り上げる寸前のあっこ、乙女モード全開。
これは……進藤先輩ますますモテちゃうんじゃないの、なんて思いつつ……
そこで唐突に、ある人物の姿を見つけて、思わず「えっ」と声がもれた。
──栗色の髪。
小柄な背丈。
「……宇多くん、いる」
「あー、宇多くんもリレーの走者に選ばれたらしいよ」
「……え、ほんとに?」
「足速いの意外だよね」