新人をナメめてはイケません![番外編あり]
「陽人さーん、お昼できましたよ~」
新しい年を迎えた翌日の昼。
今年も穏やかな休暇を楽しんではいるものの、昨年より少し騒がしい気がするのは、俺に彼女が出来たからだ。
呼ばれた声に、ソファから腰を上げてテーブルに向かう。
キッチンから出てきた彼女、姉田美紅は俺の部下でもあった。
まあ、今も部下っちゃ部下なんだけど、お互い違う勤務地に配属されているからそうとは断言できない。
あぁ、やべぇ。なんなの、ほんと。
可愛すぎるだろ。
赤のシンプルなエプロンをつけた美紅を見て思う。
やっと手に入れた俺の美紅。
かなり遠回りしていた俺たちは昨年のクリスマスでようやく恋人というスタートラインにつくことができた。
約5年ぶりの再会だった。
もう会わないと思いながら過ごしていた俺にとって何とも逃してはならない瞬間だった。
だから、見かけたときその場にいた同僚とは直ちに別れて、美紅を追いかけたんだ。
一段と磨きかかっていた彼女をこれ以上手放すにはいかないと思ったら止まらなかった。
恋に急ブレーキはかけられない。
そんなことをどこかで耳にした時は、馬鹿馬鹿しいと鼻で笑っていたこともあった。
それがまさか自分に襲いかかってくるとは……。
罰が当たったんだろうか。
まあいい。
そんなことより今が十分幸せなんだ。