新人をナメめてはイケません![番外編あり]
2人で静かに片付けた後、特に予定がない俺たちはソファに並んで座ってるだけの状態から抜け出せずにいた。
並んで座ってるはずなのに、横に温もりを感じないのは。
「美紅、遠くね?」
ソファの端に座っているからだ。
なぜか、遠回りして端に座ってしまった彼女。
その理由が、分からなくもない。
だって、顔が物語ってる。
「こっち来いよ」
「……いまは、いいです」
「じゃあ俺が、」
「だめ!来ないでくださいっホンットにだめですから!」
顔の前で大きなバツ印を作ると何度もその構えを繰り返す。
あー、なんでこんなに可愛いんだろ。
ほんと、困る。
「って、なに隣来てるんですかっ!!」
「別にいいじゃん」
「よくないから、言ってるんじゃ──っ」
うるさいから口を塞いでやった。
たぶん目は大きく開かれているだろう。
目をつぶっている俺でもそれぐらい分かる。
ほんの数秒なのに長く感じる口づけ。
離れると口を押さえて震えてる彼女が堪らなく愛しいと感じる。
「なにする?」と何気なく聞いてみると案の定、慌てるから腹を抱えて笑う。
そばで「なんで笑うんですか!」なんて真っ赤な顔して言う姿に、悪戯っぽく笑ってみた。
「な、なんですか、その顔は」
「いやー?なんも」
「っ!知ってますからね!その顔するときはいつも私をバカにしてるって!」
フッ。
あぁ、ほんとうるさい。
人の気も知らないで。
ブツブツ言う声を聞きながら俺はテレビへと近づいて行った。