新人をナメめてはイケません![番外編あり]
もう一度、キスを落とす。
長く。
それも、舌を忍び込ませて。
「……ん……っ」
美紅の甘い声が鼓膜を震わせる。
ただ舌を絡ませているだけなのに、こんな声漏らすとか……。
止めたくねぇ。
ほんと、早く起きろよ。
どんだけ爆睡なんだよ。
これ以上させるなよ。
俺、結構きてるんだけど……──。
「ん……ぁ……んん……っ!
ン!?~~ッ!?」
「……遅ぇんだよ」
瞳孔全開の彼女をみて呆れた声を出した。
この状況をうまく掴めていないのか、口をパクパクする美紅。
するりと美紅のそばを離れた俺はベッドに横になってる彼女にため息を吐いた。
「え、えっ、な、なんで?!」
「はぁ……。お前の神経おかしいんじゃないの?」
「へ?!」
「いや、『へ?!』じゃないし」
あれから何とか自分と闘って、とりあえず美紅をベッドに寝かせることにした。
頑張った俺は褒め称えられるべきなんだと思うんだけど?
美紅に。
でもその過程を知らないからなぁ。
ベッドに寝かせた後、その場を立ち去ろうとしたら、しっかりとパーカーを掴まれた挙げ句、いつまでも離さない手に困りつつ、添い寝までしてあげたんだから。
それはもう、完敗した瞬間だよな。
「な、なんですかっ」
「大胆だよな、あんなことやって。俺をどうしたいわけ?」
「っ……だ、大胆!?え、あんなこと?!私、何してたんですか」
そう言いながら正座する美紅。
しゅんとする様が子犬みたいで、なかなかの見物だ。
そんな俺はまた距離を縮めはじめた。