【短編集】恋の花咲かせてみませんか?
彼女が言った。
「今日はね?
もう、最後にしようと思って…。
最後だから、綺麗な私を覚えていて欲しくて…。
だから、浴衣着たの。」
途切れ途切れだけど、しっかりとオレに言う。
「今まで、ありがとう。」
そこまで言うと立ち上がり、花火の後片付けをし出す彼女。
頭の中、真っ白だ。
だけど、言わないと。
友達に背中押して貰った意味が無い。
片付けをしている彼女に近寄った。
「…仕事始めてから、ずっと自分の事でいっぱいいっぱいで悪かったと思ってる。ごめんな?」
彼女は俯いている。
「花火、楽しかった。最後までありがとう。」
「私こそ、ありがとっ…。」
…彼女の言葉の最後は涙声だった。
「…さよなら。」
「さよならの花火。」完