【短編集】恋の花咲かせてみませんか?
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お昼休み。
学食へと向かいながら今朝の出来事を聞く。
「私、自転車通学じゃない?
今朝ね、いつも通りにお家を出たんだけど、自転車のブレーキが壊れてたみたいで、坂道でスピード出てたのに止まらなくて。
ほんと、怖くてこのままじゃ死んじゃうって思って。」
身振り手振りで私に説明する彼女。
とりあえず、突っ込まずに一生懸命話す彼女に耳を傾ける。
「それで、叫んだの。」
「え?」
「だから、「誰かー!助けてー!」って叫んだの。」
「マジでか!?」
ごめん。友達だけど笑ってしまう。
「笑わないでよ~!」
「ごめん、ごめん。で、誰か助けてくれた?」
そこで、会話がちょっと止まる。
「…うん。ぶつかった。」
「ぶつかったの??怪我はしてない?」
私は思わず、彼女の全身を確認した。
怪我は無いみたいだ。
「私は、大丈夫だったんだけど…。」
「『私は』。って事は……?」
??
私の疑問には答えずに彼女が、ふと、歩みを止めた。