【短編集】恋の花咲かせてみませんか?
いつもの場所に着くと、私に気が付いた先輩が優しく微笑んでくれた。
「お前の、真っ直ぐな気持ち嬉しかった。
今までありがとう。………ごめん。」
何か言葉を発したら、
涙が零れちゃいそうで何も言えずに、
ただ首を左右に振った。
『先輩、謝らないで。』
そう、伝えたかった。
ギュッて抱きしめられて、
一瞬だけ先輩の温もりを感じた。
…最後までずるい。
先輩はずるい。
だけど、私もずるいから。
「ちゃんと好きだった…。ごめん。」
先輩が私から離れて、背を向けた。
「……先輩っ。
…卒業おめでとうございます。」