隣人が世話焼きな件について
エレベーターは三階にいたので、階段で上がり『説明会会場→』という貼紙に指示された部屋
に入る
と言っても三階には一つしか部屋は見当たらないが
会場の入口に長テーブルが受付用に置かれていて、社員さんと思しき人が2人並んでいて、テーブルを挟んで説明会に参加する学生が私の前に3人ほど並んでいる
カバンの中から提出する履歴書を取り出し、順番を待つ
前の人の受付が終わり、受付の女性と目が合う
「「あ」」
日下さんだ!
「こんにちは田辺さん」
あの時と同じキレイな微笑みで挨拶をされる
しかも私の名前を覚えてくれてる!!
「こっこんにちは!C大学経済学部の田辺佳香です。よろしくお願い致します。」
憧れの人に会え更に名前を覚えてくれていた興奮から噛みながらも言うべきことは口にして、履歴書を提出する
「あら、同じ大学だったんですね。ではあと5分くらいで始まりますので前から順に詰めてお座りください」
「はい」と返事をして日下さんに手で示された方を向くと100人くらい座れる会場の8割くらいがすでに埋まっていた
指示通りに詰めて座り、机の下の荷物置きにカバンを置く
「君、受付の綺麗な人と知り合いなの?」
隣に座っていた人、つまり受付で私の前に並んでいた人に声をかけられる
くりっと丸い目にバランスよく配置された顔のパーツの犬のようなカワイイ系の男の子だった
「証明写真を撮ってくれたのが日下さんだったの」
日下さんに憧れてここに来たのだけど、そこまでは言わない
「へぇ」
そこまで興味がなかったのかそれだけ言って前に向き直る