隣人が世話焼きな件について
でももう私も子どもじゃない
大学生になってもう1年半も経つ
「夕飯はハンバーグにしよう」
朝食を食べながらすでに夕飯の話をするこうちゃん
夕飯も作って当たり前だと思っている
私は大好きなピザトーストをかじりながら一大決心をする
「こうちゃん…」
「どうしたの?」と首を傾げるこうちゃん
「夕飯いらない」
俯きながら言う私に
「そっか、友達とご飯でも行くの?」
と聞くこうちゃん
そうじゃない
「違う。もう夕飯も朝ご飯も作らなくていい。朝も起こしにこなくていい。もう子どもじゃないんだから、自分でやれる」
こうちゃんは「わかった」と言ってその後は無言で朝食を食べ、先に片付けをして出ていった
その夜からこうちゃんは本当に来なくなった
今までどんなに喧嘩しても次の日の朝には平然と朝食を作って私を起こしてたのに
もう1週間も来ていない
電話もメールも来ない
隣に住んでるのに姿を見かけることもない
日が落ちて暗くなった家の中で1人ソファで膝を抱えて座る
こうちゃんがいない家の中はとても静かで寂しい
こうちゃんが来なくなってから1人でご飯を作ろうとしても卵焼きひとつまともに作れない
朝食のトーストだってボタンひとつ押すだけのはずなのに毎回真っ黒になる
こうちゃんが作った美味しいご飯をこうちゃんと一緒に食べたい
溢れた涙が頬をつたる
抱えた膝に顔を埋めてないていると、急に部屋が明るくなった
顔を上げるとリビングの入口にこうちゃんがいた
「佳香…」
切ないような苦しいような表情でこちらに近付きソファに座っている私の正面で跪く