隣人が世話焼きな件について
その文章を丸暗記してそのまま読むだけでは伝わらないとこうちゃんが言っていたので、その中からキーワードとなる言葉にだけ四角で囲っていく
そして次に自己PRにとりかかる
『自己PRは過去の体験談と共に』
表のポイントに書かれていた言葉に思い浮かぶのは中学から高校まで6年間バレーボール部で培った忍耐力、チームワーク、そしてセッターとして全体を見る力と流れを読む力
身長が154センチと高くない私はアタッカーにはなれるはずもなく、ずっとアタッカーにトスを上げるセッターのポジションだった
進学校だったのでスポーツ漫画みたいに朝から晩までバレーボール漬けってわけではなかったけど、県大会に出場するくらいには頑張っていた
高校時代を思い出しながら書いていて、ふと顔を上げた先の壁沿いのファイルに私が志望する会社…つまり日下さんが働く会社名のラベルが貼ってあるファイルを発見した
手にしていたシャープペンを置き、そのファイルの元へ歩み寄り、手に持ち表紙をめくる
中身は1枚だけしか入っていない
一番上に『経済学部 日下杏』と記されている
面接回数や内容、内々定が貰えるまでの期間などの詳細が日下さんの字だろうか丁寧な字で書かれている
後輩達のために残されたそれに更に強く彼女と共に働きたいという想いが膨らむ
帰ったらこうちゃんにも見せようと思い、ポケットからスマホを取り出し、写真に撮る
よしっ自己PR仕上げちゃおう!
気合いを入れ直して途中だった自己PRの作文に取り掛かる
自己PRもぴったり用紙の下半分に収め、キーワードとなる言葉を四角で囲いできた用紙とペンケースをカバンに仕舞い家路に着く