隣人が世話焼きな件について


自社説明会で一度見た社長と前回の一次面接で面接官をしていた人事部長が長机に並んで座っていて、向かい側に1メートルくらいの間を開けて並べられた椅子に私と小木曽くんが座る


穏やかに笑う白髪の混じる人事部長に真面目な表情でじっとこちらを見つめる社長


あ…やばい緊張してきた


社長と目が合い忘れていた緊張が蘇る


膝の上で指を揃え重ねて置いている手にもじんわりと汗が滲む



「そんなに緊張しなくてもいいよ」



突然穏やかな笑顔を見せ、社長が言葉を発する


緊張しなくてもいいと言われてもしますよぉーー!社長と面接なんて緊張しない方がおかしいですよ!と心の中で叫ぶ



穏やかな表情のまま机に肘をつき顔の前で手を組んで社長は続ける

「君達2人は一次面接の時点でもう内々定出すって決まってるから」


え…?


えええええええ?




唖然として隣に座る小木曽くんと目を合わせた


彼も私と同じように唖然という言葉の通りの表情をしている


「小木曽くんも田辺さんも我社への情熱に溢れていたし、筆記試験も面接での内容も申し分なかったよ。」


今度は人事部長が話し出した


「売り手市場と言っても、いい人材は取り合いだからね、今年の採用試験で今日最終面接となったのは君達だけだ。あとは二次面接を経て最終面接して内々定となる。君達は今『イエス』と言えば今ここで内々定が確定するよ。」


人事部長は不敵な笑みをこぼす



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