隣人が世話焼きな件について


それから暫くの間は私の彼氏は『忍者』だと社内で噂が流れ、同期から面白半分でメールやら電話やらきたりしたけど、あんまり詮索すると暗殺されるかもよ?と脅しを入れて終わらした



人の噂も75日…


年が明ける頃にはそんな噂も薄れていた


正月はお母さんもお父さんも帰ってきていて、最後の日にはみんなで隣のこうちゃんの家にお邪魔して、6人ですき焼きを食べる



「ねぇ、あんた達いつ結婚するの?」


すき焼きも締めのうどんを投入したところでお母さんの突然の爆弾発言に飲んでいたお茶にむせる


え?結婚!?


てかお母さん達に付き合ったことすら話してなかったのに?


「そうねぇ早く孫の顔も見たいわよね」

と乗っかる恵美子さん


こうちゃんに背中をさすられなんとか落ち着いて口を開く

「あの…お母さん方…私まだ学生なんですが…」


結婚を考えないわけじゃない


いつかはこうちゃんと結婚したいし、子どもだって欲しい


「学生でも結婚はできるし、あと3ヶ月で卒業じゃない」


お母さんの言葉に何も言い返せません…こうちゃん助けてと視線を投げる


ふぅと息を吐きこうちゃんが話す


「佳香だってやっと仕事もひと通りできるようになってこれから楽しい所なのに、結婚して子どもできたら忙しくなっちゃってまともに仕事に打ち込めないかもしれない。それじゃ意味ないでしょ?社会人になってもっと世界を広げてからでも遅くないよ。結婚はするけど、僕らのタイミングでするから孫が見たいなら黙っててくれる?」


いつもの微笑みで両親ズを黙らして鍋から私の呑水にうどんを取り分けてくれる


当たり前のように『結婚はする』って言ってくれたことが嬉しくて、ご機嫌でうどんを食べる





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