隣人が世話焼きな件について
「俺は高梨社長の下で働きたくて、高梨グループしか受けてないけど、内々定決まってから色んな業種の勉強のために企業展に行ってたよ」
さすがこうちゃん…知識に貪欲なところは昔から変わらない
「佳香は料理は壊滅的だけど、他は基本的に器用なんだから興味を持てる業種があれば挑戦していけばいいと思うよ」
けなされて褒められて複雑な心境です
料理はこうちゃんと一緒に台所に立ってもいつも邪魔にしかなってない
朝から晩まで仕事して、帰ってきて私のためにご飯を作って疲れない?って前に聞いたことがある
こうちゃんは「仕事も料理も好きだから全然苦じゃないよ」と笑ってた
「私もこうちゃんみたいに好きだって言える仕事がしたい!」
全く乗り気じゃなかった就活に少しだけヤル気が湧いた
「きっと見つかるよ」
微笑むこうちゃん
こうちゃんは昔から私をヤル気にさせる達人だ
受験生の時に勉強が捗らなかった時もこうちゃんの一言で猛烈に集中できた記憶がある
土曜日の朝、いつものようにこうちゃんと朝食を食べ身支度を整える
大学の入学式の時に買ったスーツだけど、サイズは変わらずピッタリ
「変じゃない?」
1階のリビングで待っていたこうちゃんに確認をする
「バッチリだよ」
優しく微笑んで立ち上がり「行こうか」と促される
「なんでこうちゃんもスーツなの?」
今日は休みのはずのこうちゃんの服装に疑問を持つ
「佳香がスーツだからかな。スーツデートもたまにはいいでしょ?」
高校生の時に制服デートに憧れてたけど、あの頃はまだ恋人ではなかったから一緒に歩いててもデートって思うこともなかったな