マーメイドはホテル王子に恋をする?!
乱れたヘアスタイルのまま笑って話す社長の横顔。
私と同じバスローブ一枚の姿だ。

ドキン…と胸が躍る。
漂う彼の色香に拒否をし続けなければいけないのに胸が弾んできて仕様がない。
このまま彼に求められたらどうする?なんて憚りもなく考える。


(…あれ?でも待って。今聞きづてならないことを言ってなかった?私が七転八倒していたから嫌でも目が覚めるとか何とか…)


上半身を起こしたまま自分が寝ていた隣を見た。
枕がへこんでいて、誰かが寝ていたような形跡がある。

もしかして隣に社長がいたってこと?
私と同じベッドで寝ていた……?


カーッと顔が熱くなり、同時に胸の音が大きく弾んだ。

そりゃ男性と一緒にベッドインしたことがない訳じゃないよ。
大学時代には彼氏もいたし、付き合ってない人とも、その場の勢いでシちゃったことだってある。


だけど、こんな高貴な相手じゃなかった。
同じ学生で庶民ばかりだった。

大学を卒業してからは彼氏もいないからご無沙汰で、だけどそれでも別にいいか…と半ば諦めている日々だった。


それなのに、これ?
罰ゲームじゃなければドッキリだよ。


社長を振り返り、ドクンドクンと胸が大きく弾みだす。
懸命にマッサージを続ける彼が、自分の僕のように見えてくる。

優しいけれどある程度の力を込めて筋肉をほぐしている。

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