マーメイドはホテル王子に恋をする?!
そんなことしなくてもいい立場の人が、私の為にしてくれている……。
「社長…も…いいですから…」
足の痛みは引いた。
痙攣も治まってきたし、突っ張った筋の感覚も緩んできた。
手を止めた社長が振り向き、私の顔色を窺う。
嘘か本当かを見定めるようにじぃっと見るものだから、こっちはますます心臓が跳ねだす。
「本当にもう大丈夫だな」
念を押すように確認。
コクン…と頷いたらホッとしたように息を吐いた。
「なら良かった。いきなり隣で暴れ出した時は驚いたぞ。まるで海の中で泳いでいる人魚みたいで」
くっくっくっ…と苦笑しだす。
私、そんなに手足を動かしていたの?
「花梨は陸に上がってもマーメイドのままなんだな」
マーメイドという言葉に胸の奥が騒つく。
社長にまでそう呼ばれる自分が嫌になる。
「…私はマーメイドなんかじゃないです」
捨て鉢な気分でそう言い返した。
マーメイドというニックネームで呼ばれたくないから水泳を止めたのだ。
それなのに、今だにその名前でしか呼ばれない日々。
田舎を離れて都会に行く勇気のない私には、お似合いの様なニックネームなのかもしれないけれど。
「いや、海から上がってきた花梨はマーメイドという名前に相応しかったよ。綺麗な足が輝いていて、まるでヴィーナスの誕生の絵みたいだった」
ヴィーナスの誕生?……と言えばあれか。
「社長…も…いいですから…」
足の痛みは引いた。
痙攣も治まってきたし、突っ張った筋の感覚も緩んできた。
手を止めた社長が振り向き、私の顔色を窺う。
嘘か本当かを見定めるようにじぃっと見るものだから、こっちはますます心臓が跳ねだす。
「本当にもう大丈夫だな」
念を押すように確認。
コクン…と頷いたらホッとしたように息を吐いた。
「なら良かった。いきなり隣で暴れ出した時は驚いたぞ。まるで海の中で泳いでいる人魚みたいで」
くっくっくっ…と苦笑しだす。
私、そんなに手足を動かしていたの?
「花梨は陸に上がってもマーメイドのままなんだな」
マーメイドという言葉に胸の奥が騒つく。
社長にまでそう呼ばれる自分が嫌になる。
「…私はマーメイドなんかじゃないです」
捨て鉢な気分でそう言い返した。
マーメイドというニックネームで呼ばれたくないから水泳を止めたのだ。
それなのに、今だにその名前でしか呼ばれない日々。
田舎を離れて都会に行く勇気のない私には、お似合いの様なニックネームなのかもしれないけれど。
「いや、海から上がってきた花梨はマーメイドという名前に相応しかったよ。綺麗な足が輝いていて、まるでヴィーナスの誕生の絵みたいだった」
ヴィーナスの誕生?……と言えばあれか。