マーメイドはホテル王子に恋をする?!
ホタテ貝の上で裸体のまま立つ女神。
自分の髪の毛で下半身を隠していたような気がするけれど……。


だけど、それみたいだったってどういう意味?
私は髪の毛だってあんなに長くないし、ウエーブだってない。

ポーズが似ていたのだとしたら、それは砂浜の上に立ち上がろうとして、ドレスの裾が腿まで捲り上がっていたから足を隠そうとしていただけだ。


「わ…私、ホタテ貝の上に立ったりしていません!」


そう言い放つと一瞬だけキョトンとする社長。
私の真顔を見て笑い出し、苦しそうに堪えながらタオルを外した。


「そんなの知っているさ。それくらい神々しかったって話」


タオルを外した後も優しく足を撫でてくれる。

どうしてそんなに良くしてくれるの。
私が勘違いしたらどうするの?


「艶かしくて綺麗だよな、花梨の足は」


「あ…」


さっきまでタオルの乗っていた脹脛に軽いキスを落とした。
ぞくっとする様な快感が腰の辺りから上に上がってくる。


「しゃ…社長…!」


ギシッとスプリングの音を立てて彼が近寄ってくる。
こっちは胸がドキドキしたまま少し体を仰け反らした。


「熱はないか?」


「あ、ありません!」


水泳で鍛えた体には体力があるのか、風邪を引いたかな…と思っても、熱を出さずに治ることが殆どだ。


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