マーメイドはホテル王子に恋をする?!
「だったら抱いてもいいな」


「えっ…」


「この肌は俺一人のものにするって言っただろ」


擦り寄るように側に来た彼が、私の一番のコンプレックスである肩にキスをした。


「綺麗だ。誰の目にも見せるなよ」


社長の色気に酔いそう。
クラリとしてくる私に社長の唇が触れる。


首筋を通って鎖骨に。
それから、まるで性感帯を知っているように胸へと辿り着く。

ブラのホックも「うっ…」とくるような息詰まりの後で外され、解放された胸の敏感部分に舌を立て始める。
優しく吸われる感触に快感が止まらない。
ゾクゾクとして身体中が熱くなる。


「社長……」


「恋人なんだから名前で呼べと言っただろう」


だけど、それは月曜日だけの話ではないの?
それともまだ日付が変わってなくて、その話は有効?

だったら呼んでも平気?
怒られない…?


「…潤也」


ぎゅっと体を抱き締めた。
彼の首に腕を回し、自分からキスを強請る。


「キスして」


「花梨…」


そう呼んでくれる人が現れるのを心の何処かで待っていた様な気がする。

それが叶って嬉しくて仕方ない。


もっと…と貪るようにキスを欲しがる自分が変だ。
腕の中に抱かれても何処か虚しくなってくる。

雲の上に住む人と重なり合う時間が儚く消えていきそうで、少しでも夢ではないと思いたい。

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